【鍼灸】虫歯でないのに歯が痛む場合に効果のあるツボと肩こり治療!

鍼灸

 鍼灸養成college講師の寒河江幹です。

「歯の痛み」に鍼が効くといってもピンとこないと思います。
確かに虫歯による痛みは、歯科で治療しなければ根本的な治療にはなりません。
ただし、一時的にこの痛みを和らげたい場合や、肩こりからくる歯痛、歯茎の痛み、
歯に異常がないけど痛む三叉神経痛からの痛みには「ハリ」は効果があります。

本記事の内容

  1. 【臓腑学から見た口腔】
  2. 【経絡と神経】
  3. 【歯の鍼灸治療】
  4. 【歯痛によく常用される経穴】
  5. 【治療例】

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【臓腑学から見た口腔】

歯の健康

歯は「脾胃」と「腎」が関係する。

<歯は腎と関係が深い>「腎は骨を司る、歯は骨のあまり」

腎虚の症状

  1. 髪が白くなる
  2. 歯が抜ける
  3. 目は見えにくくなる
  4. 関節や骨が弱くなり折れやすくなる
  5. 精力が弱り足腰が弱ってくる

歯科医は「8020」を提唱している。
80歳で20本の歯を残そうという意味だ。
歯が丈夫であるためには腎が強くなければならない。

「脾はきょう竅(きょう)を口に開く」
「脾その華は唇の四白に在り」

脾のはたらきが健全であるかどうかは、口唇およびその周囲を観察すればわかるということ。

【経絡と神経】

上歯:胃経
下歯:大腸経
:腎経
口唇:脾経

<手の陽明大腸経>

大腸経は手の人差し指から起こり上行して缺盆より天鼎(てんてい)・扶突を経て下歯の中に入る。
返り出て口を挟み人中に交わって左右交差して迎香に終わる。

<足の陽明胃経>

迎香から上向して晴明を経て下降し承泣四白巨髎(こりょう)・をめぐり「上歯」の中に入り、
返り出て口唇を走り、地倉を経て唇をめぐって承漿(しょうしょう)に終わる。*これが第1の枝
地倉から大迎・頬車をへて上向して頭維に終わる。*第2の枝 
本線は、大迎より人迎水突と下降する。

要は、上歯は胃経・下歯は大腸経の経脈上にある。

<神経>
三叉神経:第一枝(眼神経)・第二枝(上顎神経)・第三枝(下顎神経

上関・下関・翳風は三叉神経上にあり神経ブロックの穴でもある。別称:客主人
大迎:舌神経(下顎神経の分枝)の真上
頬車:顔面神経を刺激

<鍼灸治療の対象>虫歯のように歯自体には直接関係のない疾患

  • 歯周病
  • 歯槽膿漏
  • 顎関節症
  • 歯肉炎
  • *虫歯も一時的な痛みの緩和には有効

【歯の鍼灸治療】

<遠隔療法>

 歯痛の原因の多くに肩こりがある。
 頚背部の凝りと胸鎖乳突筋の緊張をとることを目的とする。

  • 頚背部:天髎(三焦経)・肩井・大椎・陶道
  • 胸鎖乳突筋:完骨・天牖(てんゆう・三焦経)・天容
  • 大腸経:合谷・温溜・曲池
  • 胃経:足三里・内庭

<近位局所療法>

上歯痛:客主人(胆経)上歯痛の一本鍼
下歯痛:下関(胃経)・頬車 (胃経)下歯痛の一本鍼

【歯痛によく常用される経穴】

肩こり治療
  • 1 客主人(別名:上関 胆経) 上から下方に斜めに刺す
  • 2 下関(胃経)直刺する 三叉神経をブロックする
  • 3 頬車(胃経) 下歯痛に効く 顔面神経の根本
  • 4 翳風(三焦経) 下顎角と乳様突起の間にある陥没
  • 5 耳鍼について 耳の歯点はたしかに歯痛も緩和するが耳の鍼自体が痛いので選択しない

【治療例】

1 歯がないのに歯が痛い例

[症例]78歳 女性 入れ歯を使用
    主訴:左下歯部痛

[施術穴]初日 温溜・足三里
     二日目 頬車・下関・温溜

[転帰] 治癒

2 歯肉炎の痛み

[症例]61歳 男性 
    主訴:左上歯痛  左上歯の周囲が赤く腫れている
    
 [施術穴]客主人・温溜 肩こりの治療 

[転帰]痛みは3/10に減った

3 虫歯の痛み

[症例]56歳 男性
    主訴:右下奥の虫歯の痛み *歯科医では歯に異常がないと言われたので来院

[施術穴]初日 翳風・胸鎖乳突筋阿是穴・頬車 肩こりの治療
     9日後に再診 「今度は左下の歯が痛む」左天牖・頬車
[転帰] 痛みは治まったようだが、結果的には虫歯の痛みのため歯科医で根本治療をする。